フィットボクシングからリングフィットアドベンチャーへ

昨年 8 月にフィットボクシングを購入し、11 月の上旬まで、月に数回サボる程度で続けていた。しかし……ついにパタリとやめてしまった。これは多分に個人的な「あるある」でもあり、春〜秋は頑張って運動できるのだけど、冬はどうも動く気がしなくなる。一方で、フィットボクシングそのものへの飽きも明確に感じていた。そのまま正月までサボり続け、いけないな〜と思っていたときにトイザらスでリングフィットアドベンチャーの在庫があることを発見し、購入。今のところ非常に良好で、トレーニングを楽しんでいる。幾つか比較できるところをメモしておきたい。

フィットボクシングは心拍数があまり上がらない

自分は脂肪を減らしたいので、心拍数のいわゆる「ゾーン 2」で多めに運動したかった。しかし、フィットボクシングはアクションの判定が厳しいものが多く、ステップ系もそれに含まれることから、自分はパンチ中心のエクササイズになるよう設定していた。当然ながら心拍数は上がりにくい。筋肉が付いてくるとさらに心拍数が上がらなくなってくる。パンチが連続するエクササイズでようやく 100 を超えるくらいで、ほとんどは 90 台だった。

リングフィットはサーキットトレーニングなので、筋トレですぐに心拍数が上がり、走るときも心拍数を維持できることから、この問題をあっさりクリアしてくれた。

ゲームとしての楽しみ

上記の、フィットボクシングの「判定の厳しさ」は常にフラストレーションだった。言われた通りに動いたつもりが無判定で、「オメーのやったことは無意味」と感じさせられることが多かった。「不十分」という判定ならまだ納得できるのだけど、判定の善し悪しはタイミングの一致しか見ていないようだ。結局、フィットボクシングは「フィットネス」というより「音ゲー」の一つなのだと思った。判定が厳しい部分は、プレーヤーが「ゲームのテクニックとして」上達して乗り越えるべきなのだ。つまり、ボクシング的に正しく動くことよりも、ジョイコンを反応させることが優先されるようになる。それによって達成される動作は、「これって運動になるのか」「こんなに気にして動かないといけないのか」と思うようなものだった。これにはかなりモチベーションをそがれた。

その点、リングフィットはさすがニンテンドーである。「失敗させない」という配慮が十分にある。判定の厳しさにイライラすることは全くなく、むしろジョイコンで手足の角度を精緻にトラックしていること、カメラで心拍数を測れることなど、「ここまでできるのか」と思わされた。心象としてはフィットボクシングと全く逆である。ちなみに心拍数の数値は Apple Watch のそれとほぼ一致するので、それなりに正確なのだろう。

継続の仕組み

フィットボクシングはかなり単調である。曲がたくさんある、アイテムがもらえる、キャラやその外見が変えられるといった工夫はあるものの、エクササイズ自体は開始 1 週間程度で目新しさがなくなってくる。ストーリーのようなものもない。曲もキャラもアイテムも、ストックされたものをただ消費していくという印象であり、「次に何が見られるんだろう」という面白みはない。アイテムは見た目にしか影響しないし、入手できるアイテムの大半は、自分が選んでいないキャラクターのものだ。また、前にも書いたが「毎日やろう」「時々休め」のメッセージが混在していて、適当だなと思った。

リングフィットについては、それなりにストーリーがあるので楽しめる他、エクササイズのバリエーションも豊かで、自分で好きなエクササイズを選べる。始めて 1 カ月になるものの、まだまだアンロックしていないエクササイズがたくさんあるようだ。手に入れたアイテムがゲームの進行を左右する(キャラの体力の回復など)点も遊び甲斐がある。上手に(あるいは体を追い込むように)動けば高得点が得られる仕組みもよく作られている。メッセージは矛盾がないよう十分に考慮されていて、栄養など知識面の情報もよく用意されている。毎日ゲームをしなければというプレッシャーもない。軽い運動なら続けてやるし、重い運動をしたら 1 〜 2 日空けてまたやればいいやと思える。

エクササイズのガイド

前に書いたように、フィットボクシングのナレーションはとても残念だった。問題点を簡単にいえば、リズムが音楽に合わないことと、大半のせりふに意味がなくエクササイズの役に立たないこと。音声を英語に設定したらリズム面の不満はだいぶ解消されたのだけれど、元となる日本語のせりふに意味がないせいか、翻訳後の英語のせりふがどれも似たようなものになっている。明瞭でない日本語は英訳するときにぼろが出るものだけど、そこで日本語に戻って編集することもなく、「こんなもんか」で押し切ってしまった印象を受ける。この英語、ネイティブにはどう聞こえるんだろうと思って英語のレビューを見たら「ナレーションが不満なら日本語に設定すると気にならないよ」という Tip が書かれていて笑ってしまった。また、キャラクターの動きについても、本当にこれでいいのかと思わずにはいられないものだった。普通、人間ならこう動かないよね、というか。

リングフィットはリズムのゲームではないので、リズムに関する問題は起こらない。エクササイズのガイドとなるグラフィックは実際の人の動きをトレースしたような感じで、とても自然。参考になる。ただ、エクササイズ中のかけ声で「輝いてるよ」とか言われるのは滑稽というか、繰り返し聞いたら不快になってくるかもしれない。

前情報とのギャップ

最初にフィットボクシングを買ったのは、当時リングフィットが買えなかったからなのだけど、フィットボクシングで我慢する材料として多少の情報収集はしていた。「しっかりしたトレーニングならリングフィット、継続ならフィットボクシング」あるいは「リングフィットはスペースが必要、フィットボクシングは限られたスペースでできる」といった情報を参考にした。どちらのゲームも体験した今となっては、リングフィットの方がむしろ継続しやすいと思うし、必要なスペースも大きくは変わらない。ただ、リングフィットは「尻の下になにか柔らかいもの敷いた方がよい」などの追加リソースが発生してくる他、開脚したり大股で前後する動きがあるので、フィットボクシングより求めるものが多いのは確かだ。

まとめ

フィットボクシングは、「コレおかしいよね」とすぐに気付くような箇所を放置し過ぎで、有名な声優を使うなどの「売るための華」とのギャップに失望してしまった。ただ、3 カ月程度は頑張ることができたし、何もやらないよりはずっと良かったので、買ったことは後悔していない。コロナ禍で外出せずに運動できたメリットは大きい。問題点も新作の「2」では改善されているのかもしれない。

リングフィットは、さすがニンテンドーというか、理不尽な部分がないし、さらに「こんなことできるんだ」という喜びを味わわせてくれることに感心する。とはいえ、リングフィットはまだ始めて間もないので、今は良いことばかり見えているのかもしれない。願わくは次の冬まで運動が続けられて、さらには冬も乗り切れるとよいのだけれど。